研究課題
原生代後期からカンブリア紀にかけて生命は多細胞化・大型化を達成した。そのため、この時代の生命進化と表層環境変動の因果関係を明らかにする事は、地球と生命の共進化を議論する上で非常に重要である。表層環境変動は一般に、海水組成に大きく反映されることが良く知られている。生命の急激な進化には、当時生命が存在していた海洋組成の変化が密接に関連していた事が予想される。南中国の三峡地域には、原生代後期からカンブリア紀の地層が連続して露出している。東京工業大学と東京大学を中心としたグループはこの地において、風化の影響が少なく連続的な岩石試料を採取するために陸上掘削を行った。古環境を推定するために既に多種の同位体比分析を行ってきたが、三峡の地層から推定される環境変動を他地域と対比するためには絶対年代が必要である。一般にこの時代の地層には酸性凝灰岩が非常に稀であるため、本研究では黒色頁岩中に含まれるReとOsの同位体比を測定する事によって、アイソクロン法によって地層に絶対年代を与えて行く。岩石から作成した粉末試料からReとOsを分離する作業は海洋開発研究機構にて行い、ReとOs同位体比の測定については海洋研究開発機構の表面電離型質量分析計を用いた。その結果、三峡地域の地層について新たに2層準(Doushantuo Fm上部、Shuijingtuo Fm最下部)からそれぞれ578±12Ma、512±12Maという年代を得た。これらの地層にはレニウムやオスミウムが他の層準に比べて100倍程度濃集しており、当時三峡地域が強還元環境(Sulfidic)にあった事も明らかになった。この強還元状態の上位の地層からいずれも新たな生物種(化石)が発見されているが、同時代他地域にはこのような地層は無い。南中国ではこれらの環境変化が生物進化に影響を及ぼしていたと考えられる。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Gondwana Research
巻: 25 ページ: 1057-1069
巻: 25 ページ: 1070-1089
doi.org/10.1016/j.gr.2013.03.008
巻: 25 ページ: 910-944
doi.org/10.1016/j.gr.2013.03.012
巻: 25 ページ: 945-965
doi.org/10.1016/j.gr.2013.03.013
巻: 25 ページ: 1027-1044
doi.org/10.1016/j.gr.2013.05.001
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Lithos
巻: in press ページ: in press
doi.org/10.1016/j.lithos.2014.02.010
Tectonophysics
doi.org/10.1016/j.tecto.2014.03.026