平成25年度の主要な研究目的は、Sobolev-Hardy型不等式、Trudinger型不等式など、いわゆるSobolev型不等式に対する変分問題を考察し、その最大化関数の存在または非存在を明らかにすることであった。この目的に対し、平成24年度において、我々は、Adachi-Tanaka(1999)によって得られた全空間における斉次Trudinger-Moser型不等式に対し、最良定数を達成する最大化関数の存在を証明した。一方、全空間上のTrudinger-Moser型不等式としては、斉次性を持つものと持たないものが知られており、Ishiwata(2010)では斉次性を持たないTrudinger-Moser型不等式については、その最大化関数の存在、非存在は次元に依存することを証明している。このことは不等式の斉次性が変分構造に大きく影響を与えていることを意味している。これらのことを踏まえ、我々は、平成25年度において、Sobolev定理の臨界に位置するより一般的な汎関数を考察し、その変分構造を解析した。ここでは、正規化に採用するノルムの幾何学的構造が変分構造に与える影響を調べることに成功した。この結果は、現在国際雑誌に投稿中であり、大阪大学の石渡通徳氏との共同研究によるものである。
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