複雑な堆積プロセスが働く沿岸域において、堆積物の微化石データを塩分濃度や水深、気温や降水量といった物理量に正しく変換することを目指し、ケーススタディーとして大阪湾の現世微化石分析と化学分析、海水観測を行い、データの収集と解析を行った。湾内の珪藻遺骸群集の分布と組成は、主に有機物量や塩分量、場所の物理的特性に影響を受けていることがわかった。表層花粉データを用いた定量的気候復元における大きな誤差は、時に気候以外の影響が花粉組成に大きく反映されてしまうことに起因することを明らかにし、気候復元の際にマイナー分類群を強調することで、復元の精度・確度を有意に向上させることに成功した。
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