研究課題/領域番号 |
24840034
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
岡田 拓三 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (20547012)
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研究期間 (年度) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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キーワード | 代数幾何学 / ファノ多様体 / 有理性 |
研究概要 |
3次元Qファノ重み付き完全交叉について、その森ファイバー構造や有理性を研究した。余次元が2で、反標準因子がWeil因子類群を生成しているものは85族からなることが知られている。 研究代表者のこれまでの研究により、それら85族に属するメンバーの極大特異点を特定し、さらには、各極大特異点に付随するサルキソフリンクを決定した。これにより、85族のうち19族は双有理剛性を有することが従う。代数多様体が双有理剛性を有するとは、その多様体の双有理同値類に属する森ファイバー空間がただ一つであることを言う。残る66族に属するQファノ多様体はその多様体と非同型である森ファイバー空間と双有理同値になり、従って双有理剛性を有しない。今年度は、残る66族の森ファイバー構造を決定するという目標を掲げ研究を行った結果、多くの族に対してそれらに属するQファノ多様体の森ファイバー構造が丁度2個であることを示した。このことから、それらのQファノ多様体が非有理的であることが直ちに従う。なお、未だすべての族に関して森ファイバー構造を決定するには至っておらず、今後の課題と言える。また、余次元が1のQファノ重み付き超曲面の有理性に関する研究も行った。これらの対象も有限族からなることが知られている。先行研究の結果と研究代表者の行った今年度の結果を合わせて、一つの族を除いたすべての族に属する一般メンバーの有理性を判定することに成功している。残る一つの族の有理性を決定することも今後の課題の一つである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、Qファノ重み付き完全交叉という明示的な有限族を対象としている。各族についてケースバイケースな取り扱いを行うことにより、研究を着実に進展させている。また当初は平成25年度に行う計画であった、重み付き超曲面の有理性判定問題についても着手し、一定の成果を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き3次元Qファノ重み付き完全交叉の森ファイバー構造の決定および有理性の判定を行いたい。特定の3次元端末特異点を中心とする因子収縮射の明示的な記述・解析が鍵になると考えている。森ファイバー構造の決定は、もともと有理性判定を意図して行っている研究である。一方で、与えられたQファノ多様体の森ファイバー構造を完全に決定することは非常に困難である。今後の研究においては、非有理性を与えるよりよい条件を模索することも検討したい。
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