| 研究概要 |
今年度は、曲線の自己交差の情報をジョンソン理論に応用するための研究を行った。
(1)テュラエフ余括弧積のテンソル表示を明らかにすべく、曲面の基本群の良い「座標」を構成するための考察を行った。曲面の境界に平行な単純閉曲線のべきに対して、その自己交差を写像μによって測ることで、μのテンソル表示の満たすべき方程式が得られる。まず、この方程式の解で、「座標」によらないものを一つ与えた。この仮想的なμのテンソル表示は、テュラエフ余括弧積の簡潔なテンソル表示を導くことを確認した。この解を実現する様な「座標」が良いものであると考えられる。この様な「座標」が存在するかどうかが、問題として残された。
(2)2011年に導入した、二つの曲線の交差を測る写像κ(参考: Nariya Kawazumi and Yusuke Kuno, Intersections of curves on surfaces and their applications to mapping class groups, arXiv:1112.3841)の、単純閉曲線のべきに対する値の計算を行った。昨年度に行った、一つの曲線の自己交差を測る写像μに対する計算と同様に、結果がベルヌーイ数を用いて記述されることを観察した。
一般デーンツイストの幾何的な意味を明らかにするための研究は、ほとんど進めることができなかった。
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