研究課題
本年度は前年に得られた成果を応用して(1)地球スケールでの現象解明と(2)新しい衛星観測手法の検証に取り組んだ。(1)地球スケールでの現象解明前年に確立した技術を用いて雷放電の性質と超高層放電(スプライトおよびエルブス)の発生頻度の関係性を地域依存性の観点から調査した。まず海陸依存性に着目したところ、海域ではピーク電流値の高い雷放電が発生しやすいこと、それに応じてエルブスの発生頻度が陸域に対して約2.5倍高いという新しい知見が得られた。このような傾向は雷放電の他のパラメータやスプライトの発生頻度には見られないものであり、雷のピーク電流値とエルブスの強い結びつきを示すものである。一方で緯度依存性に着目すると、低緯度域では継続時間の短いストロークを複数回伴う多重雷が多く、高緯度域では継続電流を伴うシングル・ストローク型の雷が多いという特徴が明らかになった。それとともに南北緯度25度を境に高緯度側でスプライトの発生頻度が上がることが明らかになり、雷電流の継続時間との強い関係性を示唆するものとなった。これらの結果は、過去の研究で示唆されてきた雷放電パラメータとスプライト・エルブスの結合過程を支持するものであると同時に、これまで未解明であった海陸依存性や緯度依存性といった地球スケールでの描像を明らかにするものとなり、本研究課題の所期の目標を達成するに至った。(2)新しい衛星観測手法の検証さらに人工衛星による新しい雷観測技術の信頼性を検証するため、国際宇宙ステーション搭載JEM-GLIMSを併せ用いた解析を行った。GLIMSはナディア方向を観測する衛星機器であり、前年に用いたリム観測器ISUALに比べて本解析における誤差が少ない。そこでGLIMSによる観測データを解析したところ、前年に得られた知見と矛盾しない結果が得られ、当該技術を支持するに至った。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Radio Science
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10.1002/2013RS005288
第27回大気圏シンポジウム講演集
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