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2012 年度 実績報告書

Put-Call対称化法の一般化とその応用

研究課題

研究課題/領域番号 24840042
研究機関立命館大学

研究代表者

今村 悠里  立命館大学, 理工学部, 助手 (40633194)

研究期間 (年度) 2012-08-31 – 2014-03-31
キーワード静的ヘッジ / タイミングリスク / 漸近展開 / Put-Call対称化 / ノックアウトオプション / 社債
研究概要

タイミングリスクとは,配当がある停止時刻において与えられる金融商品(例えばノックアウトオプションや倒産可能性を考慮した社債)の,配当が支払われる時間が不確実であることによるリスクのことである.従来の静的ヘッジの研究においては,ペイオフ関数が満期時の価格にのみ依存する関数と,到達時刻が満期より先であるという事象の定義関数の積である場合のみが専ら研究されてきた.これはバリアーオプションのペイオフの受け渡し自体は満期時に行われるということの反映である.それに対してタイミングリスクに関する本研究では,価格過程とその到達時間の一般の汎関数の静的ヘッジが,連続的に変化する満期パラメーターごとに無限小の量のオプションを保持するというものとなる.ただしこれは実務上も確率数値解析への応用上も現実的ではないので,積分をリーマン和で近似し,有限個の満期に関する(近似)静的ヘッジ公式を考える.
基本的なモデルであるブラックショールズモデルにおいては到達時間の情報が鏡像原理によって満期時の情報へ埋め込むことができることが静的ヘッジ公式の導出には重要であることが知られている.しかし一般には考える過程が鏡像原理を持つことは期待できない.
ブラックショールズモデルに関して漸近展開を行うことにより,各項はブラックショールズモデルにおける価格によって表現することができる.我々は各項に対して鏡像原理によって得られる静的ヘッジ公式を適用することによって,漸近的な静的ヘッジ公式を与えることを考えた.昨年度以前までの研究では,1次または2次までの価格の近似を考察したが,24年度には,この収束速度の次数を任意に考えることができる手法を考案した.この手法に関する誤差を評価し,精度を明らかにすることが今後の重要な研究目的となる.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

従来まで扱っていたノックアウト型のオプション価格の静的ヘッジの研究に加え,価格過程とその到達時間の一般の汎関数によって価値が表されるようなリスク(タイミングリスク)の静的ヘッジという一般化を行った.また,漸近的にタイミングリスクを静的ヘッジするという概念を導入した.
我々は,漸近的な静的ヘッジ公式が,ブラックショールズモデルに関して漸近展開を行った際の各項に対する鏡像原理によって導かれる静的ヘッジ公式の級数として導出されることを明らかにした.昨年度以前までの研究では,漸近展開の精度は,1次または2次までのもののみが考えられてきたが,今回の新しい漸近的な静的ヘッジ公式は精度を任意の次数まで考えることができるものとなっている.当該年度の研究において,従来の2次までの漸近展開の研究から,任意の次数まで考える枠組みに一般化したことは大きな進展である.

今後の研究の推進方策

昨年度我々はタイミングリスクの漸近的な静的ヘッジ公式を与えた.この公式に関する誤差の精度を評価することが今後の課題である.
当初の研究計画では,24年度において数値計算を実行する予定であったが,その目標を数学的に誤差評価を得ることに変更した.
漸近的な静的ヘッジ公式の誤差はある偏微分方程式に従い,また確率論的表現を持つことが分かっている.現時点では,これらのことを用いて誤差の評価を得るという方針を立てている.一方,誤差の評価を数値実験によって確認することも重要な課題である.これらの結果を得た後,研究成果を学会や雑誌に発表・発信する予定である

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] An Asymptotic Static Hedge of a Corporate Defaultable Bond

    • 著者名/発表者名
      今村 悠里
    • 学会等名
      the Fifth Florence-Ritsumeikan Workshop on Stochastic Processes and Applications to Finance and Risk Management
    • 発表場所
      フィレンツェ イタリア

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公開日: 2014-07-24  

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