研究課題/領域番号 |
24840047
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
森本 高裕 独立行政法人理化学研究所, 古崎物性理論研究室, 基礎科学特別研究員 (00631780)
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研究期間 (年度) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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キーワード | グラフェン / 量子ホール効果 / THz光 / トポロジカル絶縁体 |
研究概要 |
近年物質の新たな相としてトポロジカルな側面が注目されている。古くは量子ホール効果がしられており、系の応答が波動関数のトポロジカルな性質により決まっている。グラフェンは2004年にGeimのグループにより発見され、低エネルギー励起が相対論的な準粒子になっており、トポロジカルなベリー位相を示すことがわかり、現在に至るまで実験、理論の両面から盛んに研究がなされている。また、トポロジカル絶縁体もスピン軌道相互作用のために非自明な波動関数の幾何学的接続から、バンドギャップ内で表面状態がディラックコーンをなす。トポロジカル絶縁体はスピントロニクス、量子コンピューティングにも応用可能な新しい材料として期待されている。 量子ホール系に特徴的な低エネルギースケールのプローブであるテラヘルツ光の実験技術は、近年、長足の進歩をしているので、これらの系における光応答を議論することが現実的になってきた。そこで、本研究ではトポロジカル量子相における光応答を中心に理論的な研究をおこなっていく。 これを踏まえ、本年度は以下のような研究を行った。 (1)量子ホール系のac 領域での伝導応答を、σxx- σxy two parameter scalingという方法をac 応答に拡張して議論し、局在、非局在のダイナミクスを調べた。 (2)2層および3層グラフェンの磁気光学応答を調べ、バンド構造の三角歪みの効果によりあらわれる、低エネルギーディラックコーンの応答が顕著に表れることを示した。 (3)3層グラフェンに面直電場を印加すると、低エネルギーディラックコーンが誘起でき、現実的なバンド構造においてはバレーホール状態が実現することを示した。さらに電場によりtopological 転移を引き起こすことが可能であることを提案した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)グラフェン量子ホール系のac 領域での伝導応答を、σxx- σxy two parameter scalingという方法をac 応答に拡張して議論し、局在、非局在のダイナミクスを調べた。 今年度はさらに、(2)2層および3層グラフェンの磁気光学応答や、(3)3層グラフェンに面直電場を印加した系でのバレーホール状態、などについても議論した。 (1)は当初24年度に予定していた研究内容で、すでに論文として出版されており、目標を達成したいえる。さらに(2)(3)の研究成果もあげることができたため、おおむね順調に研究が進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後はこれまでグラフェンでえられた知見などをもとにして、トポロジカル絶縁体やトポロジカル超伝導体の物性についてさらに研究を進めていきたい。 特に、(1)グラフェン、超伝導体接合系において発現するトポロジカル超伝導体のvortex core stateやedge state、(2)近年盛んに議論されているtopological crystalline insulatorなどの統一的な理解、などが研究の方向性として考えられる。
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