研究概要 |
私は太陽系外惑星(系外惑星)の精査という重要で挑戦的なゴールを目指しており、そのために赤外線宇宙望遠鏡に搭載することを想定した、「バイナリ瞳マスクコロナグラフ」という高コントラスト観測装置の開発を行なっている。極低温環境を実現する中間赤外コロナグラフテストベッド用にアルミ製軸外し鏡を用いた光学系を開発した。これにより中間赤外域でもレンズ材料の問題(色収差など)から開放され、波長によらず有効な光学系となった。また、これまでの可視光原理検証実験で用いていたガラス基板瞳マスクは、実際の望遠鏡における副鏡やそれを支えるスパイダーの遮蔽には対応しておらず、そのままでは搭載できない。そこで、瞳遮蔽適用可能なデザインのニッケル製自立型マスク3種類を新たに開発した。マスクの大きさは10mm、厚さは5, 20, 25μm である。常温大気中での可視光実験の結果、赤外域で系外惑星を観測するために必要なコントラストを実証した。また、コロナグラフの大敵となる波面誤差についても数値シミュレーションを用いて評価し、望遠鏡の波面精度要求を検討した。その波面誤差を補正する収差補正鏡のシミュレーション設計および開発を行なった。さらに、ハビタブルゾーン天体の検出能力等のシミュレーション検討もおこなった。以上のように、これまでに類例のない、中間赤外域での高コントラスト観測を実現するために必要不可欠で、単体の研究成果としても重要な研究を着実に進めた。これらは、単体の研究成果として国内外のコンファレンスにて発表した。
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