研究課題
常温常圧下におけるアルコール水溶液は局所的に不均一な混合となり、その混合状態も組成に応じて変化することが知られている。この現象は水素結合が大きな役割を果たしていると考えられているが、これまで当研究グループによる体積挙動の解析結果より、水素結合の影響が弱化する亜臨界・超臨界状態といった高温高圧下でもこの局所的な不均一性は残存している可能性について報告している。この現象をコンプトン散乱スペクトルから得られる電子状態についての情報から解析するため、平成24年度に開発した高温高圧流体用測定セルおよびSPring-8のビームライン(BL08W)を利用してアルコール水溶液を対象としたコンプトン散乱スペクトル測定を行った。また、詳細な体積挙動との比較を行うため、高温高圧流体用の高精度密度測定装置の開発を行うとともに、高温高圧アルコール水溶液の密度データの蓄積を行った。コンプトン散乱スペクトルの測定条件は、メタノール水溶液は常温常圧下から350°C、20MPa、エタノール水溶液は常温常圧から150°C、20MPaとすることで、電子状態の温度圧力および組成に対する変化を解析した。その結果、メタノール水溶液、エタノール水溶液共に、高温高圧下における電子状態は、純成分の測定値から予想される状態(理想混合)から偏倚したものとなり、その偏倚の挙動もアルコール組成0.04から0.2を境にして大きく変化することを確認し、これまでの実験および分子シミュレーションによる解析結果を支持する結果が得られた。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Chemical & Engineering Data
巻: 59 ページ: 1024-1030
10.1021/je400744j