研究課題/領域番号 |
24850008
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
石割 文崇 東京工業大学, 資源化学研究所, 助教 (00635807)
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研究期間 (年度) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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キーワード | 刺激応答性材料 / 凝集誘起発光 / カルシウムセンサー |
研究概要 |
平成24年度はまず、AIE特性を有するビニルモノマーの開発と、その重合および共重合によって得られるポリマー、コポリマーの性質について研究した。文献に従い合成したヒドロキシル基を一つ有するテトラフェニルエテンに対し、アクリロイルクロリドを作用させることにより新規ビニルモノマーを合成した。得られたモノマーを様々な濃度でフリーラジカル重合することにより、様々な分子量を有するAIEポリマーを合成した。それぞれのポリマーの発光性について調べたところ、分子量が高いものほど、強い発光性を示すことが分かった。また、より精密で複雑な構造を有するポリマーの構築にむけて、このモノマーの精密ラジカル重合性について検討した。ATRP(原子移動ラジカル重合)法によっては重合が困難であったが、RAFT(可逆的付加開裂連鎖移動)重合によっては、分子量および分子量分布が制御されたポリマーが得られることが分かり、今後の展開に有用な知見が得られた。次に、このモノマーの共重合性について調査するために、種々の汎用ビニルモノマー(スチレン、4-ビニルピリジン、メタクリル酸メチル、アクリル酸t-ブチル、アクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミドなど)とのランダム共重合を行ったところ、仕込み比通りに問題なくコポリマーが得られることがわかった。これらの固体状態での量子収率について調べたところ、同じ個体状態にもかかわらず、対応するポリマーマトリックスに分散させたモノマーと比べて高い量子収率を示すことがわかった。また、驚くべきことにこれらコポリマーのうち、アクリル酸との共重合体は、水/メタノール混合溶液中でカルシウムイオンを添加すると蛍光強度が上昇することが分かった。このような蛍光強度の上昇はナトリウム、カリウム、マグネシウムを加えても観測されず、このコポリマーはカルシウムセンサーとして機能することがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成24年度は、AIE部位を有するポリマー、コポリマーの性質について検討することを計画していた。本年度では、AIE部位を有するポリマーの蛍光強度の分子量依存性を見出し、また、コポリマーにおいても固体状態における量子収率の向上を見出した。また、これらの成果に加え、ポリアクリル酸との共重合体はカルシウムイオンセンサーとして働くという予想外の機能を見出すことができた。これらのことから本年度は当初の計画以上に研究が進んだと評価した。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度では、前年度で得られたテトラフェニルエテンモノマーとアクリル酸の共重合体がカルシウムセンサーとして働くといった、予想外の発見をさらに発展させるための研究を行う予定である。まず、このポリアクリル酸―テトラフェニルエテンコポリマーのカルシウムセンサーとしての性質について精査する。具体的には、このコポリマーのイオンセンシング能のコポリマー組成依存性、溶媒依存性、イオン種、分子量依存性などについて調べる。次に、固体状態(溶媒不溶状態)のイオンセンサー作製を目指し、ゲル化や表面固定化などを行い、そのセンシング能について調べる予定である。
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