研究概要 |
自動車などから排出される一酸化炭素は人体に有害であるため、固体触媒により完全酸化除去されることが望ましい。本研究課題では、強い相互作用により特異な触媒性能を示す白金-酸化スズ系触媒に着目し、酸素貯蔵能(OSC)を有するセリア上に担持することで新たな環境浄化触媒を開発することを目的とした。 触媒担体として600C焼成済みのCeO2 (参照触媒, JRC-CEO-3)を使用し、含浸法によりPt-Sn/CeO2触媒を調製した。400度で水素還元処理を行ったPt-Sn/CeO2触媒を用いてCO酸化活性試験を行った結果、Snの含有量が増加するにつれて触媒性能が低下した。触媒の表面状態を調査した結果、Snの含有量が増加するとPtナノ粒子の分散性が低下することや、水素還元処理による金属間化合物の生成が示唆され、CO酸化活性をより低温で達成するには、金属状態のPtナノ粒子を高分散状態で維持することが重要であると考えられる。 次に前処理条件の影響を調べるために、100度, 200度, 400度で水素還元処理を行ったPt-Sn/CeO2触媒を用いてCO酸化活性試験を行った結果、未処理の触媒と比較して活性が向上することが分かった。特に100度や200度で還元処理を施したときに高い活性を示した。また、各試料のCO吸着量をCOパルス法により測定した結果、100度や200度で還元した触媒は400度で還元した場合よりも大きなCO吸着量を示した。したがって、400度で還元処理を行うと、COの吸着サイトが減少するため、低温で還元したときよりも活性が低いことが明らかになった。以上のように、PtとSnの含有量や前処理条件などを変化させることで触媒性能を制御できることが明らかになった。
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