研究課題
次世代電子デバイスとして注目されているフレキシブルトランジスタの高性能化および高機能化の手段としてプラスチック基板やポリマー絶縁膜の薄膜化が検討課題となっている.これまでの研究で,薄いプラスチック基板,ポリマー絶縁膜,カーボンナノチューブ膜電極,カーボンナノチューブチャネルで構成された超フレキシブルオールカーボントランジスタを実現している.しかしながら,ポリマー-チャネル間の相互作用に由来する極性変換など,デバイスの特性制御に関する未解決の課題があった.平成25年度は,前年度の結果をより定量的に検討するため,ドーパント濃度が明確なp型Si基板を用い,ポリビニルアルコール(PVA)の金属/絶縁体/半導体キャパシタ構造を作製し,特性評価を行った.容量-電圧測定から見積もられるフラットバンド電圧とPVA絶縁膜厚の関係から,PVA膜内にはSi基板表面-PVA間に誘起される界面電荷密度に匹敵する高密度の正の固定電荷が存在することがわかった.電荷密度は,PVA膜内およびSiO2-PVA界面でそれぞれ+10の15乗 (cm-3)および+10の11乗 (cm-2)であった.このため,PVAを塗布したカーボンナノチューブチャネルには負の電荷が誘起され,n型挙動が見られる.さらに,アンモニアドープを施したポリマーを用い,PVA絶縁膜中の正電荷密度を増やすと,カーボンナノチューブチャネルへ誘起される負電荷が増加し,電子のみによる単極性のn型伝導が観測される.PVA塗布による極性変換はカーボンナノチューブの他,グラフェンでも確認している.チャネル膜厚が薄くなるほど誘起された電荷の効果が顕著になるため,厚さ数nm程度の材料を用いる超薄膜エレクトロニクスにも有用な知見になると考えられる.また,チャネルの柔軟性を検討するため,比較材料として酸化薄膜半導体を用いたトランジスタ試作を行った.
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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