研究課題/領域番号 |
24860021
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小林 豪毅 東京大学, 生産技術研究所, 特任研究員 (50621695)
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研究期間 (年度) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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キーワード | 波浪推算 / ブシネスク方程式 / 風応力 |
研究概要 |
平成24年度は水槽実験により風による初期の波の発生・発達状況を確認するとともに、数値シミュレーションによる基礎的検討を行った。水槽実験では風路付造波回流水槽の風上側から風下側に複数の容量式波高計を設置し、風による波浪スペクトルの発達を計測した。同時に風路内にピトー管を設置して風速の計測も行った。実験の結果、波浪スペクトルの高周波数成分は短い吹送距離で飽和し、スペクトルピークがダウンシフトしながらエネルギーを増大していく状況が確認された。また、波の発達には風速の鉛直分布が重要であり、その分布形状は摩擦速度と粗度高さの2つのパラメータにより評価できることがわかった。本研究では、このような風から海面へのエネルギー流入を簡便にモデル化することがポイントとなる。数値シミュレーションについては、ブシネスク方程式に風応力の項を導入し、波の発達を計算できるモデルを開発した。このモデルは海面への法線方向の風応力の作用を波の起動力として導入おり、風により規則波の波高が増大していく様子が確認された。ブシネスク方程式に基づくモデルは、従来のエネルギー平行方程式に基づくモデルよりも直接的に風の影響を評価することができる。ただし、平成24年度の検討段階では、特に不規則波に対する風応力のモデル化が十分ではなく、水槽実験で確認されたような波の発達が再現できなかった。平成25年度はブシネスク方程式に適した風応力モデルの構築に力点を置き、風による波浪の発生・発達を考慮した港内静穏度モデルを完成させる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の水槽実験により、風から海面へのエネルギー流入を検討するための基礎データは得られている。また、研究のベースとなる数値シミュレーションモデルも開発済みであることから、平成25年度は風応力のモデル化に集中することができる。そのための追加の水槽実験および現地観測データの入手についても準備ができている。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の水槽実験では変動する水面上で風速分布を計測することが難しく、特に水面近傍の風速については十分なデータが得られなかった。そこで、平成25年度はサーボ式波高計、小型ピトー管、微差圧計を用いて、より詳細な風速データを取得する。また、現地における波浪の発達状況を把握するために、岩手県久慈市に設置された波浪観測レーダのデータ解析を行う。これらの結果から風応力のモデル化を行い、風による波浪の発生・発達を考慮した港内静穏度モデルを完成させる。
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