|
近年，気象と災害の予測，超高速インターネット通信などを実現するため，アンテナ鏡面をはじめとする宇宙構造物には大型化と高精度化の2つの要求がされている．これを実現するためには宇宙構造物を輸送機に高効率で収納し，高い精度を保持したまま宇宙空間で展開する技術が必要である．この課題を解決するため，本研究では平面から様々な立体を作り出すことのできる「折紙」の理論の応用し，要素の弾性変形を利用した自己展開構造の設計法を確立した．得られた成果は以下の3つに集約される．
1.剛体折紙シミュレーションの拡張：折紙の折りたたみ過程における形状を計算する手法は剛体折紙シミュレーションとしてまとめられているが，本成果によって，部分的に弾性変形を許容した折紙モデルのシミュレーションに必要となる，「空」の面やピンジョイントを有する剛体折紙モデルを解析する汎用の方法を確立した．
2.4角形メッシュ折紙を自己展開する設計法の一般化：上記の成果と合わせ，任意のパネルで構成される4角形メッシュ折紙の折りたたみ過程におけるひずみが解析可能となったため，単純なアクチュエータを用いた自己展開構造が設計可能となった．
3.数値シミュレーションによる展開性能の確認：これによって理想的なヒンジを持つモデルでは展開可能であることが確認できた．
得られた成果によって，今後は円形膜など異なるモデルも解析可能となると考えられる．
|
