日本の電力系統ネットワークの脆弱性評価を可能とするエネルギーモデルを開発するために、電力供給計画の概要における連系系統概要マップに、発電所、主要変電・開閉所、周波数・交直変換設備、需要地をノードとし、送配電網をリンクとした日本の電力系統ネットワークモデルの設計を行った。電力系統ネットワークの「脆弱性」を測る適切な指標とは何か、日本の電力系統ネットワークはどの程度脆弱性を有しているか、特に脆弱な箇所はどこか、脆弱性を効果的に低減する方策と何か、検討を行った。 モデルのテストシミュレーションと、感度解析を行った。感度解析の結果から、開発したプログラムが設計どおりにモデルを正しく表現しているか、妥当性等についてモデルのパラメータと構造の検証を行った。 本研究の成果によって、日本のエネルギー政策の策定・立案について、特に将来の電力系統の在り方とスマートグリッドや再生可能エネルギー導入といった多様な選択肢を検討するための科学的知見を提供することができた。今後の課題として、電力需給の不確実性を考慮した電力系統ネットワーク分析を行い、スマートグリッドや蓄電システム等の導入に適した地点を推定するための方法論を構築している。さらに、様々なエネルギー源(太陽光、風力、コージェネレーション、蓄電等)や、制御システムの規模(家庭内、工場内、小規模コミュニティー内等)に柔軟に対応できる電力系統システムモデルとして、地理情報システム(GIS)等を利用した地域性による制約(気象条件、地理的条件等)を組み合わせた評価への応用研究に取り組んだ。
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