本研究では,低環境負荷・高速成膜・低コストを達成する新しい成膜技術により,スズドープ酸化インジウムの代替材料開発を念頭に,酸化物系結晶薄膜を低温成膜することを目標とする。水溶液法の一つであるスピンスプレー法を用い,適切な流量と回転数を選択して製膜し,可視光透過率70%以上,比抵抗5×10-3 Ω・cmの酸化亜鉛膜を作製できた。次に,水溶性高分子を使用した場合,クエン酸三ナトリウムと異なる結晶形状の変化が見られた。また,透過率・比抵抗ともにクエン酸ナトリウム使用時よりも良好な結果は得られなかった。この結果より,吸着有機物や膜構造が紫外光照射時の比抵抗変化に大きく影響していることが示唆された。
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