本研究では、3次元的な人工の光ナノ構造である3次元フォトニック結晶において、立体的に自由自在な光伝搬制御の実現可能性を探求し、その応用展開を検討していくことを目的とした。平成25年度の研究では、平成24年度に構築を進めた立体的な光伝搬制御を可能とする3次元光導波構造を基盤として、立体的な導波路からなる光回路をプローブとして用いた、3次元フォトニック結晶内部の光ナノ共振器評価への展開に関して検討を行った。3次元結晶構造内部に埋め込まれたナノ共振器は、完全な光閉じ込めに効果よる極限的な性能が期待されるものの、共振器へのアクセスが困難であることが課題であった。本研究による立体的な導波構造は、この課題を解決しうる鍵として期待できる。まず、フォトニック結晶の外部からの光入出力を行うための導波路と、結晶内部のナノ共振器との結合特性について解析を行い、導波路-共振器間の配置に対する共振器Q値や光の伝搬効率を明らかとした。このような解析に対して、実験的にも、16層積層型の3次元フォトニック結晶において、様々な配置の導波路-共振器の結合構造を実現し、光学特性の評価を行い、導波路-共振器間の結合特性(共振器Q値および光の伝搬効率)が制御できることを明らかにした。さらに、このような性能評価をより発展させていくためには、入出力用導波路における外部との結合効率の向上が不可欠であることから、入出力に適した導波路端構造(表面構造)の検討を行い、外部光学系とより効率よく結合させられる構造を見出した。また、より簡便に実現しうる少ない積層数の3次元結晶において高いQ値を得る方法についても検討を行い、共振器モードのプロファイルならびにフォトニック結晶の表面状態を制御することで、同じ積層周期数でも2桁程度のQ値向上の可能性があることを見出した。
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