研究課題/領域番号 |
24860037
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤井 恵介 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10637705)
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研究期間 (年度) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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キーワード | 高ダイナミックレンジ / 分光計測 / プラズマ分光 |
研究概要 |
本研究の目標は6桁のダイナミックレンジを有する分光計測システムを開発し,磁場閉じ込め高温プラズマからの発光を計測することである. 平成25年度は,2種類の分光器とCMOSカメラを用いて,原理上決まる計測システムのダイナミックレンジの上限を評価した.その結果,分光システム内で光学素子の開口部の大きさが有限であることに由来するフラウンホーファー回折によりシステムのダイナミックレンジが制限されることを明らかにした.焦点距離1m,回折格子の大きさ100mmの一般的な高分解分光器だと6桁程度,焦点距離300mm,回折格子の大きさが170mmの研究室保有の低Fナンバー分光器で7桁程度のダイナミックレンジが限界であることがわかった. 一方で,実際の計測では光検出システムの読み出しノイズと計測可能な最大の光強度との比がダイナミックレンジを制限する.一般的には4桁程度である.そのため,読み出しノイズが実効的に小さい光電子増倍管を用いた光検出システムの設計を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現状の計測原理の有する根本的なダイナミックレンジの限界を評価することができている.実際の目標達成には,以下に述べるように光検出器の製作や,現有装置を用いた計測法の改良などが必要であるが,その設計や計測方針も完成しており,予定通りに研究が遂行できている.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,昨年度設計を行った光検出システムの製作を行う.光検出素子である光電子増倍管と,64チャンネルのアナログ・デジタル変換ボードの購入は完了しており,前置増幅回路と筐体の製作を残すのみである. また,計測手法を工夫することにより,現有のCMOSカメラを用いてダイナミックレンジを実効的に増大させる手法についても試行する予定である. 開発する上記計測システムを核融合科学研究所に持ち込み,高温プラズマからの水素原子発光線の計測への適用までを行う.
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