研究課題/領域番号 |
24860052
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
柏原 沙織 横浜市立大学, グローバル都市協力研究センター, 客員研究員 (00636384)
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研究期間 (年度) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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キーワード | 歴史的環境保全 / アジア / 国際情報交換 / タイ : 台湾 : ベトナム : マレーシア / まちづくり |
研究概要 |
今年度は昨年度に実施した現地調査の分析、また文献調査、関係者ヒアリング、5月31日~6月2日にバンコクで実施された研究会資料から得られた情報から、歴史的環境保全の関連制度の整理を行った。特にハノイ・台北・横浜の歴史的環境保全関連制度の発展状況と保全型まちづくり活動の歴史について比較した。この内容は9月にマニラで開催されたIntemational Academlc Consortium for Sustainable Citiesの第4回シンポジウムにてポスター発表を行った。 横浜、台北、ハノイについては、それぞれ保全の取り組みの先進事例となった山手地区(横浜)、迪化街地区(台北)、36通り地区(ハノイ)について歴史的な街並みを保全するための①国レベルの法律等、②自治体レベルの条例・要綱等を整理し、③各地区での街並み保全の取り組みを文献及び関係者へのヒアリング調査から可能な限り時系列で拾い上げ、①・②と③の関係性について検討した。その結果、以下の5点を歴史的街並み保全において重要な要因として抽出した。①先行するボトムアップ型活動の存在、②保全対象となる建築物の所有者ニーズを適切に組み込むための制度の柔軟性、③地元の先導的な主体の存在、④保全に関する市民意識啓発、世論喚起におけるメディアの役割、⑤ステークホルダー間のコミュニケーションの確保。 特に日本と台湾では市民やNGO等によるボトムアップ型の保全活動が先行し、歴史的環境保全制度の形成に可能性が示された。社会主義国のベトナムにおいてはボトムアップ型活動は制限されているが、近年専門家らによる36通り地区の調査プロジェクトで住民を招いて議論のプロセスに巻き込む試みが行われていることから、行政から調査等の委託を受ける専門家らが仲介する形で住民・市民らの声を組み込むボトムアップ型プロセスの形へと発展する可能性が考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
妊娠のため医師との相談の上海外渡航が制限されたことから現地調査ができなかった。また体調がすぐれない日が続いたことから、当初想定していた横浜の現地調査へも赴くことができず、数名の関係者へのヒアリング調査と体調を見ながら文献調査を進めるという形でしか研究を進めることができなかつた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究実績では、本研究がめざす住民活動支援の仕組みづくりに向けた提言の背景の一端を探ることしかできていない。育児休業からの復帰後は、特に住民による主体的な関わりが見られる横浜山手地区のヒアリング調査をできるだけ早期に実施するとともに、ペナン・バンコクの文献調査・現地調査、台北・ハノイの関係者へのメールヒアリングを含めた再調査の実施を行う必要がある。
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