研究課題
低圧MF/UF膜ろ過法は、従来の砂ろ過法と比較して精密な固液分離が望めることから次世代の浄水技術として注目されている。一方、膜ファウリングの発生が膜ろ過法の普及を阻む問題となっており、膜ファウリング原因物質を効率的に取り除く前処理技術の開発は喫緊の課題である。既往の研究において、バイオポリマー (105Da以上の高分子量有機物)の濃度と不可逆的な膜ファウリングの進行度の間に高い相関が報告されている。我々はこれまでに、バイオポリマー吸着性能を有する新規樹脂を見いだし、膜ろ過の前処理としての有効性について報告している。しかしながら、新規樹脂が既存の吸着剤と比べてどの程度効果的であるかは未だ評価がなされていない。本研究では、新規樹脂及び市販の陰イオン交換樹脂についてバイオポリマー吸着能を比較検討するとともに、ラボスケールの膜ろ過装置を用いて不可逆的膜ファウリング抑制効果を評価した。多量のバイオポリマーを含む印旛沼表流水について吸着処理を行った結果、開発樹脂では46%のバイオポリマーが吸着除去された一方、市販のイオン交換材では10%の除去に留まった。このことから、開発樹脂は、通常のイオン交換樹脂にはない、バイオポリマー吸着性能を有していることが明かになった。さらに、バイオポリマー除去性能の異なる2種の樹脂(開発樹脂及びIRA400)を用いて回分吸着処理を行った水について、膜ろ過試験を行った結果、IRA400及び開発樹脂共に、不可逆的膜ファウリングの進行を抑制出来た。抑制効果は開発樹脂の方がIRA400よりも1.5倍高いことから、不可逆的膜ファウリングの抑制は、フミン酸の除去よりも、バイオポリマーの除去に起因するものと推測する。46%のバイオポリマー除去により、運転時間を約4倍延長できることが明らかになった。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Water Research
巻: 54 ページ: 123-136
Separation and Purification Technology
巻: in press ページ: in press
10.1016/j.seppur.2014.04.043
http://yamamura.waterblue.ws/cn41/pg252.html