研究課題/領域番号 |
24860062
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
溝口 敦子(寺本敦子) 名城大学, 理工学部, 准教授 (40362280)
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研究期間 (年度) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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キーワード | 流砂問題 / 河床表層 / 混合粒径 |
研究概要 |
数値解析技術の発達に伴い,河床変動解析が実用化されつつある.しかし,様々な粒径で構成された混合粒径構成河床の取り扱いは未だ確立されておらず,多くの課題が残っている.また,河川環境に関する研究が進んでいる一方で,生物の生息状況を知る上で重要な分級構造や礫間からの砂の抜け出しなど細かい場の形成議論に対応できないため,移動床水理学的研究がさらに必要とされている.このような背景をうけ,本研究は河床材料の移動に伴い表層に形成される河床表層状態と,それによって決まるであろう砂の流下特性に着目した混合粒径河床の河床変動モデルの構築を目指している.特に,本申請では,河床構成材料の粒径比と水理条件による河床表層状態,土砂の流下特性を実験によって明確にし,さらに解析で現象の理解を深めることで,表層状態によって特徴が変化するであろう流砂量特性を解明することを主な目的とする. 平成24年度は,こうした目的に向け,混合粒径構成河床における土砂の流下特性と流砂量把握実験を中心に実施した.特に,河床材料の構成と表層の粒度,流砂量,それに加えて供給土砂の粒度による表層状態や流砂量の変化着目した実験を実施し,PIVによる流速分布の計測の試みとともに各粒径の流送状態について観察した.特に,流送される表層の細砂の割合が高くなると粗砂の流送形態が単一粒径で構成された場合と異なってくる点に着目して詳細を観察することで,流送状態の理解を深めた.あわせて,こうした実験結果を検討しながら,解析モデル構築の準備を進めている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
再スタートという事情もあり,実験の実施までに時間を要したが,計画当初の実験を実施することができたため,おおむね順調に進展していると考えている. 計画当初,本研究では,実験および数値解析を援用し次の項目の研究を実施することで,混合粒径構成河床における河床表層状態と土砂の流下特性の解明,それらを考慮した流砂量の算定と河床構造の描写可能な河床変動モデルの構築を目指し,以下の四つの枠組で研究内容を設定していた.① 混合粒径構成河床における土砂の流下特性と流砂量把握実験,② 砂の流下特性を把握するための鉛直二次元数値解析モデルの構築,③ 河床波の形成が及ぼす土砂流下特性への影響の実験的検討,④ 表層状態の変化と流下特性を考慮した流砂量算定モデルの検討. このうち,平成24年度は①,②の検討を設定していたが,①を実施,成果を得たものの,②の検討は十分できたとはいえない面がある.しかし,構築に向けた準備は進めており,平成25年度に継続検討することで,当初の目的は今のところ達成できると考えている.そのため,おおむね順調と判断した.
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今後の研究の推進方策 |
本研究は,実験および数値解析を援用し,混合粒径構成河床における河床表層状態と土砂の流下特性の解明し,かつ,それらを考慮した流砂量の算定と河床構造の描写可能な河床変動モデルの構築を目指している.計画当初から以下の四つの枠組で研究内容を設定しているが,今後も基本的にはそれらを実施していく予定である.① 混合粒径構成河床における土砂の流下特性と流砂量把握実験,② 砂の流下特性を把握するための鉛直二次元数値解析モデルの構築,③ 河床波の形成が及ぼす土砂流下特性への影響の実験的検討,④ 表層状態の変化と流下特性を考慮した流砂量算定モデルの検討. 最終年度となる平成25年度は,最終的な目標の④を目指し,①を継続するとともに,現象の理解を深めるため特に②の解析モデルの構築,現象の把握を実施する.現象理解やモデルを検証するためにも,当初の研究計画にあった③も検討する予定であるが,状況に応じて割愛することを考えている.
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