研究概要 |
本研究では、パルス捕捉現象を用いた非線形光ループミラーを提案し、それを用いた全光制御デバイスの開発を行った。 本年度はまず、数値解析により、ファイバー長やパルス波形・強度に対する出力特性の変化を明らかにした。数値解析によれば、5mのファイバーループを有する非線形光ループミラーを構築し、300fs,300pJの制御パルス光を用いれば、信号パルス光のスイッチングを行えるという結果を得た。また、10m, 15mとさらに長いファイバーを用いれば、より低強度なパルス光でスイッチング動作が得られることを明らかにした。さらに、非線形性の高いファイバーを用いた場合、30pJという低強度パルスでスイッチングが可能である。 次に、提案するパルス捕捉現象を用いた非線形光ループミラーを実際に構築した。数値解析より得られた結果をもとに、偏波保持型の分岐カプラや低複屈折性の偏波保持光ファイバーを使用してサニャック干渉計を構築した。また、制御光と信号光の結合するために偏波合波カプラを、信号光の入力ポートには反射光を除去するためにサーキュレーターを設置した。本研究においては、ファイバー型素子をコネクタ接続することにより、提案する非線形光ループミラーを完成させた。 本研究で得られた数値解析結果より、本デバイスではTHz級の超高速な全光型の光スイッチングが可能であると考えられる。本デバイスの動作が今後実証されることにより、次世代の超高速な光通信の分野において有用となる超高速な全光制御技術が実現できると期待される。
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