本研究は、次世代の超高速な光通信の分野で有用となる、超高速な全光型の光スイッチを開発することを目的としている。具体的には、パルス捕捉現象を用いた非線形光ループミラー(NOLM)を提案し、それを用いた全光制御デバイスを開発することである。平成25年度は、まずデバイスの測定用光源を製作した。次に、この光源を使用して、作成したデバイスにおいてスイッチング動作が得られることを実証した。また、NOLMの入出力特性を解析した。 作成したデバイス内でパルス捕捉現象を誘起するためには、偏波の直交する、2波長の2超短パルス光が必要となる。まず、測定用光源として、2波長・2超短パルス光を出力する、波長可変光源を構築した。この光源の種となる超短パルス光源として、超短パルスファイバーレーザーを用いた。種光源から出力される超短パルス光を一般的な複屈折光ファイバーに入射した。この入射する超短パルス光の強度や偏光方向を変えることで、偏波の直交する、2波長で2つのパルスを生成した。 次に、作成した全偏波保持ファイバー型NOLM(ループ長16m)の動作実証を行った。構築した2波長・超短パルス光源の出力をNOLMの信号光および制御光として用いた。制御光の時間差をミラーと移動ステージによる空間光学系を用いて調整した。今回、制御光と信号光をループ内で時間的に重ねたとき、NOLMの出力光を得られた。したがって、本研究において、パルス捕捉現象を用いたNOLMの動作を実証したといえる。数値解析の結果より、超短パルス光を出力できると考えられる。 さらに、デバイスのファイバー長特性や入力強度特性を測定した。入力エネルギーやファイバー長を改善することでさらに高いエネルギーの出力光を得られると期待できる。
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