本研究では音波共鳴実験により蒸発係数を決定し,更に実験結果にもとづき,蒸発係数を求める実験式を構築することを目指した.始めに試料物質として水を用いて,295K~315Kの各温度条件における蒸発係数の測定に取り組んだ.その結果,いずれの温度条件においても蒸発係数は約1.0となることが明らかとなった.さらに水の蒸発係数の温度依存性については確認できなかった.蒸発係数を求める実験式の確立については,測定毎に生じる結果のばらつきにより確立には至らなかったが,誤差要因を検討した結果,音源であるランジュバン型振動子の温度依存性により,周囲温度に応じて振幅が変化していることが要因として指摘された.
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