• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実績報告書

生体防護機能向上の定量化を目的とした確率論的健康リスク評価の開発

研究課題

研究課題/領域番号 24860073
研究機関独立行政法人日本原子力研究開発機構

研究代表者

嶋田 和真  独立行政法人日本原子力研究開発機構, 安全研究センター, 研究員 (30636866)

研究期間 (年度) 2012-08-31 – 2014-03-31
キーワード確率論的リスク評価 / 発がんモデル / ベイズ推定 / 状態空間モデル
研究概要

本年度は、状態空間モデルを用いた発がんリスク評価手法を構築し、突然変異率のパラメータ推定の試計算を行った。研究開始当初は、従来のマルコフ過程を用いた発がんモデルを用いて、細胞の突然変異率の点推定を行う予定であった。しかし、マルコフ過程を用いた従来の発がんモデルでは、モデルが複雑になりすぎるため、個々のパラメータの推定が困難になることを文献調査により見出した。この事実は、原子放射線の影響に関する国連科学委員会の報告書には記載がなく、原子力・放射線の分野ではほとんど知られていないと思われる。
この問題を解決するために、原子力発電所の最新のリスク評価手法として用いられている階層ベイズモデルの一種である、状態空間モデルを用いるにより、直接観測できない細胞の突然変異率などのパラメータを個々に推定することを見出した。状態空間モデルを用いた放射線による発がんリスク推定はこれまでにない研究である。
状態空間モデルとは、観測モデルとシステムモデルからなる逐次推移の構造をもつベイズ型統計モデルである。状態空間モデルのフレームワークの元で、時系列モデルを統一的に扱うことが可能になり、モデルパラメータの推定、時系列の予測などが可能になる。
現在は、発がんモデルの一種である多段階突然変異モデルを状態空間モデルに拡張した新たなモデルを開発し、発表に向けてパラメータ推定結果をとりまとめ、細胞実験データなどとの比較を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

従来の発がんモデルではパラメータ推定が不十分である事を見出したことにより、当初の健康リスク推定手法を見直す必要が生じたため。

今後の研究の推進方策

放射線被ばく者の疫学データを用いた発がんの状態空間モデルの開発を進め、放射線が細胞に及ぼす影響の定量化を行う。さらに、たばこなどの他の発がん物質による影響との比較を行い、リスクコミュニケーションのためのデータ整備を行う。また、突然変異率のパラメータ情報を更新するために、細胞・動物実験の結果のデータベース化を試みる。細胞・動物実験による突然変異率パラメータのデータベース化が困難な場合は、数例の調査に留め、データベース化は今後の展開とする。そして、生体防護機能の定量化に向けて、突然変異率低減に伴う発がんリスク低減効果を状態空間モデルにより算出する。

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi