本研究では、同一のゲノム情報をもつにも関わらず、環境の変化に応じて表現型を変化させる表現型可塑性についての解析をおこなった。北海道に生息する有尾両生類であるエゾサンショウウオ(Hynobius retardatus)の幼生は、被食者であるカエル幼生・捕食者であるヤゴの存在や個体群密度に応じて、明瞭な表現型可塑性を示す。本研究では、このエゾサンショウウオをモデルとして、表現型可塑性の分子基盤を解明することを目的とする。 昨年度は、次世代シークエンサーのテストランをおこなったので、来年度はこの結果をさらに拡張し、形態変化の要因となる候補遺伝子の同定を目指した。昨年度の時点では、トランスクリプトーム解析の繰り返しがなかったので、繰り返し実験をおこない、統計的に有意な発現量の差を持つ遺伝子を選別した。この実験を通して、可塑性の原因となる可能性がより高い候補遺伝子が明らかになった。ここまでの結果を取りまとめ、学会発表・学術論文の執筆をおこなった。
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