本研究では、代表者が所属する東北大学生命科学研究科機能生態学分野が所有する、2次元クロロフィル蛍光装置 による変異体スクリーニングシステムを利用し、光阻害耐性に変異を持つ植物の探索を目的とした。 植物体の生育方法は、ロックウール上に播種したシロイヌナズナを所属研究室が所有するグロースチャンバー(Biotron、日本医化器 械製作所)にて、白色光を次の周期で照射して生育した(160 μmol m-2 s-1:4.5時間、 600 μmol m-2 s-1: 1時 間、160 μmol m-2 s-1:4.5時間、0μmol m-2 s-1:14時間)。気温は20°C、相対湿度 は60%、栄養塩はハイポネックス(ハイポネックスジャパン、N : P : K; 6 : 10 : 5)を水で1000倍に希釈して与えた。 EMS処理した個体とcontrolの野生型とを、2次元でのクロロフィル蛍光が測定可能なクロロフィル蛍光測定装置を 用いて比較することで、スクリーニングを行った。スクリーニング方法は申請時の方法を改善し、ロックウール上に生育したシロイヌナズナから葉を採取してマイクロプレートに移し、光阻害修復系阻害剤であるリンコマイシン 溶液を与えることで光阻害修復系が阻害された状態で光阻害処理を行い、光阻害の程度が有意に野生型と異なるもの を探索した。 これまでに約7000個体で、一次スクリーニングを行い、118個体の変異体候補が探索されてきた。この得られた変異体候補を用いて、詳細な形質評価を行う事で、どのような遺伝子が光阻害耐性に関わっているのかを明らかにし、光阻害および光防御のメカニズムをより詳細に明らかにして行く事ができると考える。
|