紅色植物系統の葉緑体ゲノムに保持されているYcf30は、光合成の獲得と共に、ラン藻から葉緑体に受け継がれた転写因子である。以前に、申請者は、in vitro実験により、Ycf30が、葉緑体内の光合成代謝物の量の変化を感知して、ルビスコの転写活性化を行うモデルを提唱した。本研究では、環境変化に応答した代謝産物量の分析を行い、上記のモデルを支持する結果を得た。ラン藻から葉緑体へ引き継がれた転写因子、Ycf30は、環境変化によって変動する光合成代謝産物量を感知して、ルビスコの転写制御を行い、光合成の最適化を行っている。それは、光合成を担うオルガネラ、葉緑体の誕生にも重要であったと考えられる。
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