研究課題
これまでの研究で,幼虫から前蛹期に至る形態発生スケジュールがわかり,幼虫を単独飼育後4-8日齢の個体を用いてRNAseqを行い,武器遺伝子や形態形成遺伝子の発現プロファイルを取得する準備が整った.比較にはオス,メス,幼虫,前蛹の数ステージを予定している.また,予備実験により本種ではRNAi(RNA干渉)が有効であることを確認しており,候補遺伝子のRNAiによるノックダウンが可能となっている.また, DNAメチル化やヒストン修飾を薬理的に阻害することで,武器形質や変態過程への影響があることがわかってきた.特にメチル化の阻害では蛹になるタイミングが大きく影響をうけることが明らかになり,変態過程とDNAメチル化の関連性が示唆されている.
1: 当初の計画以上に進展している
これまで予定していた,幼虫から前蛹期に至る形態発生スケジュールを決定することができ, RNAseqによる武器遺伝子や形態形成遺伝子の発現プロファイルを取得する準備が整った点で順調に準備が進んでいる.また,本種でのRNAi(RNA干渉)の有効性を確認できたことで,候補遺伝子のRNAiによるノックダウンによる機能検証に道が開けた.さらに,DNAメチル化やヒストン修飾を薬理的に阻害することで,武器形質や変態過程への影響があることがわかってきたことから,本種の武器サイズや変態にゲノムレベルでのエピジェネティック機構の関与が暗示されており,過去になかった視点から武器形質や変態現象に迫ることができている.
これまで明らかにした幼虫から前蛹期に至る形態発生スケジュールを利用して,実際にRNAseqを行い,武器遺伝子や形態形成遺伝子の発現プロファイルを取得する.比較にはオス,メス,幼虫,前蛹の数ステージを用いる.またシーケンサは初期段階ではMiSeqでの長い配列の解読とつなぎ合わせ,発現比較段階ではGAIIを用いた,短い配列の発現レベル比較用のデータを取得し,効率的に手順を進める予定である.さらに,これまでに本種ではRNAi(RNA干渉)が有効であることを確認している.そこで,武器形成を司る候補遺伝子についてRNAiによるノックダウンを行い,表現型への影響を検証する.また, DNAメチル化やヒストン修飾を薬理的に阻害することで,武器形質や変態過程への影響があることがわかってきた.こうした因子が武器形質の発生過程に影響を与えていることが示唆されるため,DNAメチル化のレベルについてRNA-seqやbisulphate sequence法などを用いて明らかにする.これまでに変態過程や成長,細胞増殖に関わる因子の関与が先行研究から示唆されており,こうした因子の詳細な特定が進むとともに,新規の武器形成遺伝子,因子を特定できると考えている.
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 備考 (1件)
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