本研究の目的は、分裂期染色体の凝縮や分配機構に関わる新規のタンパク質を同定することである。この目的を達成するために、近年普及した定量的なプロテオーム解析をさらに改良し、複数の定量値を統計学的に組み合わせた手法、多次元プロテオミクスにおいて、分裂期染色体タンパク質と予測された機能未知タンパク質の分裂期細胞内での局在の決定を試み、これまでにこの手法で、12種類の新規セントロメアタンパク質を含む、30種類の新規染色体タンパク質を同定した。 1 そこで本年度の研究では、更なる機能的分裂期染色体タンパク質同定のため、上記のプロテオミクス解析から染色体タンパク質と予測されるタンパク質の局在をさらに確認し、興味深いタンパク質を見いだすことを試みた。これまでに、100種類の標的遺伝子のうち25種類のヒトホモログをクローニングした。クローニングした遺伝子はGFP融合タンパク質の形でヒト細胞に導入したが、これまでに有力な新規遺伝子の発見には至っていない。 2 また、同時に我々がこれまでに見いだした興味深い新規セントロメアタンパク質の機能解析を行った。これにより、この新規タンパク質は分裂前中期において染色体パッセンジャー複合体のセントロメアの局在と姉妹染色体の接着維持に必須であることが示唆された。
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