研究課題/領域番号 |
24870021
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
川上 広宣 九州大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (50403952)
|
研究期間 (年度) |
2012-08-31 – 2014-03-31
|
キーワード | 染色体DNA複製 / 相互作用 |
研究概要 |
染色体DNA複製は細胞が正常に増殖するためのまさに基盤である。申請者は、染色体DNAが正確に2倍化する分子機構を知るため、特に複製開始反応の全貌解明を研究の全体構想としている。これまでに研究代表者らは、染色体上の複製起点を認識する出芽酵母ORC蛋白複合体が特異的に構造変化するモデルを構造生物学的に提唱し、また、ORC構成サブユニット間で特定の条件下におこる特異的な相互作用を見出している。本年度はこのサブユニット間相互作用に関わるアミノ酸残基を同定するためのスクリーニングシステムを構築し、情報学的アプローチを併用することで実際に複数のアミノ酸残基を同定した。同定した残基の1アミノ酸置換変異によって試験管内での相互作用能が欠損すること、ならびに細胞内での機能が不活性になることが判明した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞内・試験管内ともに機能欠損するアミノ酸残基を所期の計画通り同定した。ORC複合体の蛋白精製は現在遂行中であるが、これは昆虫細胞・バキュロウィルスを用いた蛋白質多量生産システムの代わりに、他の細胞を用いてトランスフェクション法で多量生産する計画に変更し、このためORC遺伝子をサブクローニングすることが必要となったためである。従来、トランスファーベクターからバキュロウィルスを作成し、増幅、タイター測定し、その後も定期的なメンテナンスが必要となるため大変煩雑であったが、これらの手間が省けることにより、中期的な研究目的の達成はむしろ早まると想定している。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は同定したアミノ酸残基が染色体複製開始に及ぼす機能を生化学・構造生物学的手法を用いて具体的に解明し、当初の目的達成を目指す。ORCの構造変化が染色体複製開始に重要であるという実験的証拠が得られることがゴールである。
|