研究課題
神経細胞に病原性を有するウエストナイルウイルスは細胞内タンパク質分解系の一つであるオートファジーを抑制する。オートファジーの低下は神経細胞死を誘導することが知られており、ウエストナイルウイルス感染によるオートファジー抑制機構を解明することを目的としている。ウエストナイルウイルスゲノムがコードする10個の遺伝子について、それぞれの塩基配列を哺乳類細胞発現ベクターにクローニングした。構築したウイルスタンパク質発現プラスミドを神経系由来細胞に導入し、オートファジーマーカーであるLC3-IIの発現をイムノブロットおよび、免疫細胞化学染色で評価している。また、変異体ウエストナイルウイルスを作出するために、米国ペンシルバニア大学のDoms教授から供与して頂いた956株のウイルスゲノムをコードしているプラスミドを鋳型として、NY99 6-LP株のウイルスゲノムに組換えたプラスミドを作製している。本年度はオートファジーに必須な因子であるATG5を欠損した細胞を用いて、オートファジーがウエストナイルウイルスの増殖に与える影響を調べた。その結果、オートファジーはウイルス感染後3-6時間で誘導され、ウイルスゲノムの複製および遺伝子発現を抑制することを見出した。これらの結果をまとめて英文雑誌Virus Researchに投稿し、現在revise中である。さらにオートファジーとウエストナイルウイルスの増殖性および神経病原性の関係を明らかにするために、理化学研究所より神経細胞特異的ATG5ノックアウトマウスを購入し、飼育・繁殖中である。必要な数のマウスを得られ次第、感染実験を実施する予定である。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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