本研究では、①水田作経営調査、②農産物検査・流通調査、③地域営農システム調査の枠組みで実態調査と結果分析を行った。また、水田営農再生システムに関する考察行うため、水田作経営、地域営農、食品安全管理等に関する文献を収集し、国内外の研究成果を整理した。 調査・分析の実績は下記のとおりである。①水田作経営調査では、伊達市小国地区の全戸アンケート調査(小国地区復興プラン提案委員会との共同研究、全戸対象、原子力災害前後の経営変化と地域農業に関する意識等)の調査表作成・配布・回収を行った。また、福島県内の水田作経営を対象とした営農実態調査を行い、水田作経営の展開方向について考察した。 ②農産物検査・流通調査では、福島県「ふくしまの恵み安全・安心推進事業」における放射性物質の自主検査の実施体制について調査した。調査対象は、地域協議会とし、現況の安全検査・流通体制に関する分析を行った。 ③地域営農システム調査では、伊達市を事例対象地域とした地域営農実態調査を実施した。調査対象は、住民組織(放射能からきれいな小国を取り戻す会)、稲作作業受託組織(構成員5名、水稲育苗・乾燥調製作業を受託している農業生産法人)と農業関係機関(伊達市産業部農政課、JA伊達みらい、福島県伊達普及所)とした。 以上の調査結果と、前年度の研究成果をもとに、放射能汚染地域における技術普及・安全検査体制のあり方について総合的に考察し、その実施体制を組み込んだ水田営農再生モデルを策定した。
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