本研究では、原子力災害の被害地域において、生産から流通までを一体的に管理する水田営農再生システムをモデル的に提示した。事例地域は、放射性物質による汚染レベルが深刻な地域である福島県伊達地域とした。第一に、事例地域の概況と原子力災害後の水田営農の動向をまとめた。第二に、地域主体が行ってきた、放射性物質対策と農産物検査の実態を整理し、現況の対策の課題を析出した。最後に、国内外での調査結果を踏まえ、水田営農における既存の重層的な組織構造(水利組合・農業集落・共同作業組織)と、関係機関のサポート体制(地方自治体・農業協同組合・研究機関など)の再編方向を示した。
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