研究概要 |
本研究は、昆虫病原性糸状菌を用いる生物的防除の可能性の追求を目的とし、昆虫の病原微生物感染抵抗システムにおいて知覚―行動がどのようにリンクしているか解明することを目指している。モデル昆虫であるシロアリは、家屋の害虫として駆除を目的に多くの応用研究がなされてきたが、基礎生理学的な面における知覚能力や学習能力はほとんど何もわかっていない。将来的に社会性昆虫を対象とした生物的防除手法を確立することを目指す本研究では、これまで調査されてこなかった知覚と行動をつなぐリンクを明らかにするために、イエシロアリのコミュニケーションによる知覚情報伝達を調査する。 平成24年度の研究成果として、昆虫の病原菌知覚のシグナルの一つである可能性が高い、病原菌由来揮発性物質の同定をGC/MS分析により進めた。その過程で同定された菌由来揮発性物質を用いて行動実験を行ったところ、イエシロアリがきわめて微量な揮発物質まで行動決定の要因として知覚することができることが明らかになった。さらに,透過型電子顕微鏡による家詩をあり触覚上感覚網の観察を続けている。 国内学会としては, 2012年7月に比較生理生化学会、また2013年3月に日本応用動物昆虫学会にて研究成果を発表した。国際学会としては,8月に国際無脊椎動物病理学会(アルゼンチン)のシンポジウムにて招待講演を行った。 たまアウトリサーチ活動として、2012年8月に、LAPAN(インドネシア)にて研究内容を紹介した。
|