研究課題/領域番号 |
24880022
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
西村 裕志 京都大学, 生存圏研究所, 助教 (50553989)
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研究期間 (年度) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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キーワード | バイオマス / NMR / 担子菌 / 木材 / リグニン |
研究概要 |
平成24年度は、溶液NMR法における試料調製法と測定条件の検討を行い、良好な二次元NMRスペクトル (1H-13C HSQC) を取得することができた。一般にバイオマス試料は高分子で粘性が高いため、緩和時間T2が短く、ブロードで弱いシグナルを与える。これに対し我々は、 1H-13C TROSY NMR法を適用することにより高分解能分析が実現できることを見出した。さらにTROSY法を応用して、1H-13C HSQCスペクトルにおいて各ピークの結合定数1JCHの相違により生じる積分体積のずれを補正する方法を提案し、定量精度の向上が実現できることを示した。 また、溶液NMR法による木材細胞壁成分の分析法を木質生分解過程の解析に応用した。その結果、木材腐朽菌の種類による腐朽パターンの違いのほか、選択的白色腐朽菌Ceriporiopsis subvermispora においては、培養期間に応じてリグニン分解の選択率が高い期間と低い期間が存在することがNMR法から確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
木質バイオマスの2D-NMRにおいて、試料調製法、測定条件の詳細を実サンプルを用いて検討し、従来法を凌駕する分解能のスペクトルを取得した。また新規に開発した定量法についてその有効性を確認することができた。木質の生分解過程測定のための培養・試料調製条件、測定条件を決定し、実際にNMR法による分解過程の観測をすすめた。
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今後の研究の推進方策 |
溶液NMR法によりヘテロな高分子混合物である木質バイオマスを定量するためには、複数の課題を克服しなければならない。H24年度は分子構造による分極移動効率の差について検討を行ったが、分子の大きさ、運動性、粘性なども重要なファクターであることがわかった。そこで今後は試料調製法の改良、標準試料を用いた定量性の評価を行っていく。また生分解反応の解析においては安定同位体の利用を検討する。
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