本研究は、近代化の過程において制度的な金融機関にその機能が代替されると考えられてきた回転型貯蓄信用講(ROSCAs)の複線的な発展の方向性について、伝統的な無尽講から出発しながら日本の農村部を中心に根強く生き残った無尽会社と、インドネシアの農村部で現在活動を活発化させ、会社組織となるものも現れつつあるarisan motor(バイク講)とを比較しつつ検討する。本研究は、いまだ整備が不十分な低開発国における農村金融市場の内発的な発展に関する展望を、日本の歴史的経験を参照することによって切り開くことを目的としており、日本の無尽会社の経営史的分析と、インドネシアにおけるバイク講の現地調査を行った。
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