研究課題/領域番号 |
24890003
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
志水 陽一 北海道大学, アイソトープ総合センター, 助教 (90634212)
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研究期間 (年度) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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キーワード | 放射線 / 循環器 / 薬学 |
研究概要 |
動脈硬化の臨床画像診断において、動脈硬化の根幹的原因である動脈内のプラークの不安定性を高精度に診断することが求められており、不安定プラークを特異的検出可能な分子プローブの開発が切望されている。そこで本研究では、動脈硬化病変のプロテオミクス解析により、不安定動脈硬化プラーク関連生体分子として新たに同定された生体内タンパク質に対する新規SPECT用分子イメージング剤(99mTc-HVPA)を創製し、不安定動脈硬化プラークの診断に適した核医学分子イメージング法の確立を目指すこととした。本目的の達成を目指し、平成24年度は以下の検討を行った。 1) 新規SPECT用分子イメージングプローブの創製:プロテオミクス解析により同定されたThrombospondin-4(TSP-4)に対する抗体に、6-Hydrazinopyridine-3-carboxylic acid(HYNIC)を導入した。次に、HYNIC導入TSP-4抗体と99mTc-Tricineを反応し、99mTc-HYNIC anti-Vulnerable Plaque-mAb (99mTc-HVPA)を得た(放射化学的収率:17.6%、放射化学的純度:99.5%)。 2) in vivoおよびex vivoにおけるイメージング剤の評価系の確立:動脈硬化モデルマウスであるApoE KOマウス大動脈において、免疫組織染色によりTSP-4の発現を確認すると共に、Movat染色との比較により、その発現は動脈硬化病変中期~後期(AHA分類:Type4-5)に高くなることを認めた。以上の結果より、ApoE KOマウスはin vivoにおける99mTc-HVPAの評価を行うためのモデル動物として有用であることを認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
動脈硬化病変のSPECTイメージング剤として本研究で新たにデザインした99mTc-HVPAの作製方法を確立すると共に、動脈硬化モデルマウスにおいて、標的分子であるThrombospondin-4の発現を確認したことから、本研究はおおむね順調に進展しているものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の結果を踏まえ、平成25年度は新たに創製した99mTc-HVPAのin vivoにおける動脈硬化診断への有用性について評価する。また、TSP-4以外にも同定されたタンパク質についてもイメージングプローブの創製および評価系の構築について検討し、不安定動脈硬化プラークの診断に適した核医学分子イメージング法の確立を目指す。
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