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2012 年度 実績報告書

7型コラーゲンKOマウスにおけるエナメル質形成不全発症機構の検索

研究課題

研究課題/領域番号 24890008
研究機関北海道大学

研究代表者

浅香 卓哉  北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (80637265)

研究期間 (年度) 2012-08-31 – 2014-03-31
キーワード7型コラーゲン / エナメル芽細胞 / トームス突起
研究概要

本研究は7型コラーゲンの変異で発症する劣性栄養障害型表皮水疱症におけるエナメル質形成不全の有無の確認とその発症機構の解明を目的として研究を実施した。劣性栄養障害型表皮水疱症モデルマウスの実験に先立ち、同疾患患者でのエナメル質形成不全の有無を確認するため、患者抜去歯のエナメル質を走査型電子顕微鏡にて観察したところ、エナメル小柱の走行と配列が乱れていることが確認された。さらに本現象はモデルマウスでも同様の異常が観察された。よって、エナメル質形成期における7型コラーゲンの役割を検討するため、野生型マウスの切歯歯胚を観察したところ、切歯歯胚のエナメル芽細胞発生初期において、7型コラーゲンの発現を免疫染色下に確認した。さらに透過型電子顕微鏡下でもエナメル芽細胞と前象牙芽細胞間に7型コラーゲンから構成される係留線維を確認し、モデルマウスではこれらの消失を確認した。また、モデルマウスではエナメル芽細胞からエナメル基質を分泌する器官であるトームス突起の構造が未発達であることが確認された。最後に野生型およびモデルマウスの歯胚やそれぞれの初代培養エナメル芽細胞におけるエナメル質の基質となるエナメルタンパクの発現をReal time PCRにて比較したところ、モデルマウスでの発現の低下が観察された。 以上の結果より7型コラーゲンの欠損に伴い、歯胚基底膜中の構造異常が上皮‐間葉相互作用に影響を及ぼし、歯原性上皮細胞からエナメル芽細胞への分化(特にトームス突起の形成)に障害を起こすと考えられた。これより、エナメル基質の分泌に異常が生じるため、立体構造的に欠陥のあるエナメル質が形成されると考えられ、劣性栄養障害型表皮水疱症患者では、エナメル質の立体構造は正常とは異なり、う蝕が進行しやすい可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

予定の研究を概ね実行し、エナメル質形成不全の発症機構の仮説を推察することが可能となった。さらにこれらの研究結果を申請者の指導の下で当科の大学院生にThe American jounal of Pathologyに投稿させ、受理されている。

今後の研究の推進方策

これまでに我々は表皮基底膜の構成タンパクである17型コラーゲン、および7型コラーゲンについて、歯胚形成過程における役割の検討を行ってきた。今後はさらに三次元歯胚培養法を用いて、エナメル芽細胞および象牙芽細胞間に発現する基底膜構造の観察と、17型および7型コラーゲン発現の有無について研究を行う予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Type VII Collagen Deficiency Causes DefectiveTooth Enamel Formation due to Poor Differentiationof Ameloblasts2012

    • 著者名/発表者名
      Umemoto H
    • 雑誌名

      The American jounal of Pathology

      巻: 181 ページ: 1659-1671

    • DOI

      10.1016/j.ajpath.2012.07.018. Epub 2012 Aug 31

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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