本研究ではp53のコドン248に生じた変異R248Q、R248Wがヒト口腔扁平上皮癌細胞の悪性形質発現にどのような役割を果たしているのか検討した。野生型p53の機能を欠くSAS細胞にR248Q、R248W発現ベクターを発現させると、R248Qを発現させたSAS細胞のみに浸潤能、運動能、接着能が増強した。 また、R248Q、R248Wを発現する口腔癌細胞株(HSC-4、Ca9-22)にp53の発現をsiRNAで抑制して同様の実験を行った。p53の発現抑制によりHSC4のみに浸潤能、運動能および接着能は低下した。以上よりR248Q変異p53はヒト口腔癌細胞において高い運動、浸潤能の獲得に働いた。
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