研究課題/領域番号 |
24890012
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
暮地本 宙己 旭川医科大学, 医学部, 助教 (60632841)
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研究期間 (年度) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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キーワード | 実験内分泌学的手法 / 電子顕微鏡 / 下垂体前葉 / 内分泌細胞 / 性腺刺激ホルモン産生細胞 / 小胞体 / 小胞体サブコンパートメント / 小胞体関連分解 |
研究概要 |
小胞体は細胞の種類や機能状態に応じて多様な形態を示す細胞内膜系小器官であり、連続した膜構造の各部位に独立した機能を営むサブコンパートメントが形成されている。本研究では、実験内分泌学的操作を加えて分泌蛋白生合成が促進あるいは抑制された下垂体前葉各内分泌細胞を対象とし、小胞体関連分子の局在と小胞体の微細構造の変化様式を比較検討することで、より生体に即した条件下での小胞体サブコンパートメント動態制御機構の解明を試みている。 平成24年度には、GnRHアゴニスト持続投与によりラットLH/FSH産生細胞において一過性に管状細網構造をとる特殊な小胞体(ER patch)が出現することを明らかにした。このER patchにはBiPやcalnexinなどの小胞体シャペロンや小胞体関連分解(ERAD)に関与する機能分子HRD1が集積したが、小胞体からゴルジ装置への輸送小胞形成に関与するSec16や小胞体-ゴルジ装置間の移行コンパートメントに局在するERGIC-53は集積する傾向を示さなかった。一方でPTU飲水付加によりホルモン産生・分泌が持続的に促進されたTSH産生細胞ではER patchはほとんど出現しなかった。上記より、LH/FSH産生細胞では分泌蛋白生合成・分泌が過度に促進されると、不適切な三次構造をとる不良分泌蛋白の量も増え、その処理を担うERADに関係する小胞体サブコンパートメントが集積しER patchを形成するが、細胞の種類や分泌蛋白生合成・分泌に対する刺激の強弱により小胞体サブコンパートメントの挙動が大きく異なることが示唆された。以上の研究成果は、研究発表欄に記載した論文(Arch Histol Cytol. 2013. In press)および学会(日本解剖学会・第118回全国学術集会、日本解剖学会第58回東北・北海道連合支部学術集会)で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初研究目的において研究期間内に詳細を明らかにすることとした具体的項目は以下の通りである。 ①下垂体前葉内分泌細胞の機能状態が変化すると各小胞体サブコンパートメントの局在はどのように変化するか。 ②下垂体前葉内分泌細胞の種類により各小胞体サブコンパートメントの局在はどう異なるか。 ③各小胞体サブコンパートメントの発現制御を行なっている関連機能遺伝子は何か。 これらの項目のうち①、②については研究実績の概要に記載した通り、LH/FSH産生細胞およびTSH産生細胞について検討を行い、既に論文や学会発表の形で成果を公表している。③については下垂体初代培養や器官培養など遺伝子制御の様式を解明するための実験系構築が進行段階にある。上記を踏まえ、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
研究課題期間の2年目である平成25年度は、現在までの達成度で言及した項目①、②に関してLH/FSH産生細胞やTSH産生細胞以外の下垂体前葉内分泌細胞について電子顕微鏡観察や免疫組織化学を用いた形態学解析法を用いて検討を進める。③に関しては現在構築過程の培養実験系を用いて、これまでの生体内で得られた小胞体サブコンパートメントの挙動に関する知見を裏付け、シグナル伝達系や遺伝子発現様式との関連を明らかにすることで細胞内における小胞体サブコンパートメント制御機構の解明を推進する計画である。
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