研究課題
小胞体は細胞の種類や機能状態に応じて多様な形態を示す細胞内膜系小器官であり、連続した膜構造の各部位に独立した機能を営むサブコンパートメントが形成されている。本研究では、実験内分泌学的操作を加えて分泌蛋白生合成が促進あるいは抑制された下垂体での小胞体サブコンパートメント動態制御機構の解明を試みた。平成25年度には、前年度に報告した①GnRHアゴニスト投与初期のラットLH/FSH産生細胞に一過性に管状細網構造をとる特殊な小胞体(ER patch)が出現すること、②ER patchにBiPやcalnexinなどのシャペロンや小胞体関連分解(ERAD)に関与する機能分子HRD1が集積することがLH/FSH産生細胞の機能とどのように関わっているか検討した。まずGnRHアゴニスト投与後のLH/FSH産生細胞のLH放出活性を検討するために、血中LH濃度を時系列的に測定したところ、薬剤投与4時間後にピークとなり、その後は減少した。一方、電顕でLH/FSH産生細胞を観察したところ、ER patchは薬剤投与8時間後から出現し始めた。このことからGnRHアゴニストによるLH放出のために細胞内の分泌蛋白量が減少した後、分泌蛋白生合成の促進が惹起されはじめた段階で二次的に蛋白質品質管理を担う小胞体分画の集積が誘導されER patchが形成される可能性が示された。以上の成果は研究発表欄に記載した学会発表(日本解剖学会第59回東北・北海道連合支部学術集会、日本解剖学会第119回総会・全国学術集会)で報告した。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Biochemical and Biophysical Research Communications
巻: 443(1) ページ: 150-155
10.1016/j.bbrc.2013.11.070.
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