遺伝子の発現を調節する転写制御因子GATA1には、複数の転写活性化部位(N-TADとC-TAD)が存在するが、それらが生体内でどのような機能を生み出しているかは未解明である。本研究から、GATA1の各転写活性化部位ごとに異なる標的遺伝子群が存在することが示された。さらに、細胞増殖を制御するRBタンパク質とGATA1の結合がN-TAD依存的であることを示した。GATA1が発症に関与するダウン症関連急性巨核芽球性白血病や一過性骨髄増殖症ではN-TADが欠失していることから、この成果は、複数の転写活性化部位によって果たされるべきGATA1の転写制御機構の破綻が病態に関与することを示唆する。
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