研究課題/領域番号 |
24890016
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
藤野 直也 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (10633670)
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研究期間 (年度) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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キーワード | 組織幹細胞 / 修復 / 肺胞上皮前駆細胞 / II型肺胞上皮細胞 / microRNA |
研究概要 |
肺胞上皮前駆細胞は,ヒト成人肺組織から分離した新規細胞群で,自己複製能と肺胞II型上皮細胞 (II型細胞) や間葉系細胞への多分化能を有し,特発性肺線維症の上皮修復部分に局在している (Fujino N, et al. Lab Invest.91 :363,2011).そのため,肺胞上皮前駆細胞の機能(増殖能・分化能)を制御する因子を同定することは,特発性肺線維症等の難治性肺疾患の病態を理解し,新しい治療戦略を開発するために重要であると考えられる.本研究の目的は,ヒト肺胞上皮前駆細胞の肺胞上皮細胞分化を制御するmicroRNA (miRNA) を同定し,miRNAに基づいた肺胞上皮修復促進剤の創薬シーズを開発することである. 平成24年度は,前駆細胞およびII型細胞からtotal RNAを分離し,前駆細胞およびII型細胞の網羅的miRNA発現プロファイルを明らかにした.今後,前駆細胞で発現が増加しているmiRNA,II型細胞で発現が増加しているmiRNAを同定する.また,前駆細胞の肺胞上皮細胞分化を制御するmiRNA群を決定するため,前駆細胞で発現が増加しているmiRNAに対するmiRNA阻害剤,II型細胞で発現が増加しているmiRNAに対するmiRNA mimicを前駆細胞群へ投与することを検討している. 平成24年度繰越分を用いて,平成25年度はmiRNA mimicおよびmiRNA inhibitor導入の至適化を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年12月までに,ヒト肺胞上皮前駆細胞およびヒトII型肺胞上皮細胞からmicroRNAを分離し,microRNA arrayによるmicroRNA発現解析を行い,平成25年3月までに実験データ分析,候補microRNAの抽出を行う予定であった.しかしながら,研究の目的に合致するドナーが例年より少なく臨床検体の収集に予想以上の時間を要した. また,平成25年3月までmicroRNAの感染実験で用いるレポーター細胞を樹立する予定であったが,レポーター細胞の樹立は困難であった.
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今後の研究の推進方策 |
micoRNAの発現実験のデータ分析,候補microRNAの抽出は,平成25年4-6月で行う予定である. レポーター細胞の樹立ができなかったため,microRNA感染による表現型の解析にはII型肺胞上皮細胞マーカーであるpro surfactant protein-Cを用いた免疫蛍光染色を用い,ArrayScanにて発現量を定量することに変更した.
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