摂食・嚥下機能の障害は大きな問題であり、突然の窒息や誤嚥性肺炎の発症により命を落とすこともある。本研究では実験動物、特に神経筋疾患モデルマウスを用いて、嚥下に関わるニューロペプチド等の分布を評価することで嚥下に関わる神経学的な役割を明らかにする。さらに、温度感覚などの各種感覚刺激により良い嚥下機能回復の方法を確立することを目的としている。ワイルドタイプマウスと神経筋疾患モデルマウスに過剰麻酔でと殺し、4%ホルムアルデヒドにて固定し、脊髄、脊髄神経節、迷走舌咽神経節を採取し、凍結切片法にて薄切した。薄切した脊髄神経節、迷走舌咽神経節の切片にて、caspaseによる免疫染色を行った。ワイルドタイプマウスと神経筋疾患モデルマウスとの比較を詳細に行ったところ、脊髄神経節においてはcaspaseの発現が微増していた。さらに、薄切した脊髄の切片にてグリア細胞への影響を調べるため、アストロサイトのマーカーであるGlial fibrillary acidic protein (GFAP)やマイクログリアのマーカーであるIba1による免疫染色を行った。ワイルドタイプマウスと神経筋疾患モデルマウスとを比較したところ、運動ニューロンが存在する脊髄の前角においてGFAPの発現に変化が認められた。しかしながら、摂食に関わる三叉神経系や末梢の組織については明らかにすることができなかったため、さらなる検討をしていく。
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