研究課題/領域番号 |
24890024
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
菅原 優 東北大学, 大学病院, その他 (00636954)
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研究期間 (年度) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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キーワード | 歯髄幹細胞 / オリゴデンドロサイト / PDGF / 再生 / 歯 |
研究概要 |
これまでの研究によって、我々は歯髄中に歯髄幹細胞と呼ばれる多能性を有した細胞が存在していることを明らかにしてきた。その中で歯髄幹細胞株(SP細胞)を血小板由来増殖因子(PDGF-BB)で刺激することによってオリゴデンドロサイトマーカーであるPlp-1やolig2のmRNAの発現が有意に誘導されることがわかり、PDGFに着目したオリゴデンドロサイトへの分化誘導法の確立、分化誘導メカニズムの解析を本研究の目的とした。 これまでに、PDGF-AAでSP細胞を刺激すると、象牙芽細胞の分化マーカーであるDSPPのmRNAの発現が上昇するが、一方でPDGF-BBで刺激するとオリゴデンドロサイトマーカー遺伝子の発現は上昇するが、DSPP、ALP、osterix、Runx2のmRNAの発現は減少することが明らかとなった。 さらに、ウェスタンブロット法を用いて、PDGF受容体下のシグナル伝達経路を解析したところ、PDGF-AAでp38のリン酸化が強く誘導される一方で、PDGF-BBで刺激した場合にはERK1/2、p38、Aktが強くリン酸化されることが明らかになった。さらには、PDGF受容体のsiRNA法を用いて解析したところ、PDGF-BBは、PDGFβRを介したシグナル伝達を行っていることも明らかになってきた。このようにSP細胞におけるPDGF-AAと-BBの役割は異なることが明らかになった。特に、分化マーカーの発現の違いより、PDGF-BBがオリゴデンドロサイト分化に関与している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに、PDGF-AAとPDGF-BBの役割の違いが明らかになり、PDGF-BBはSP細胞をオリゴデンドロサイトへ分化誘導する可能性が示唆された。さらに、PDGF-BBによるシグナル伝達経路についても、伝達物質、受容体含め明らかになってきている。
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今後の研究の推進方策 |
今後、主にin vitroの系を用いて、効率のよいPDGFの刺激条件の検討を、RT-PCR法やフローサイトメトリー法を用いて行い、また受容体シグナルの同定を抑制剤やsiRNA法を用いて解析しその分化機構を明らかにしていく。同時に、この歯髄幹細胞(SP細胞)の、いわゆる神経幹細胞としての特徴や特性について、神経系の前駆細胞マーカーの発現や変化について、神経栄養因子(NGF)刺激した場合との比較検討も行いながら解析していく。
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