研究概要 |
平成25年度は当初の計画に基づき、HDLコレステロール上昇のメカニズムの解明の検討を中心に行った。4級化ポリアミンナノゲルが直接作用する小腸、胆汁酸・コレステロール代謝の中心臓器である肝臓で解析した。またリポ蛋白代謝に関連する血中のリパーゼ活性、コレステロール代謝に影響を与えるホルモンの変化も解析した。まず小腸では、胆汁酸の吸収・代謝に関与するFXR (farnesoid X receptor)、FGF15、コレステロール吸収に関与するNiemann-Pick disease, type C-like 1、HDL粒子の新生に関与するABCA1、ApoA1の遺伝子と蛋白発現を解析し、新規ナノゲルの作用を検討した。肝臓では、胆汁酸の代謝および合成に関与するFXR、SHP、Cyp7a1、Cyp8b1、HDL代謝酵素であるLCAT、PLTP、Endothelial lipase、HDL受容体であるSR-BI (scavenger receptor class B member 1) について、その遺伝子と蛋白発現を解析し、新規ナノゲルの作用を検証した。HDL合成に関与するApoA1 mRNA、ABCA1蛋白の発現上昇、HDL異化に関わるhepatic lipaseの mRNA発現減少のあること、肝臓でのカルシウムチャンネル、 S100g カルシウム結合蛋白ファミリーのmRNA発現の上昇がみられたことに関しては、さらに、発現異常のみられるABCA1等のHDL制御タンパク質の合成、分解系をそれぞれmRNAおよび蛋白レベルで検討し、HDL上昇の分子機序を検索した。
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