研究課題/領域番号 |
24890035
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
奥西 勝秀 群馬大学, 生体調節研究所, 講師 (50401112)
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研究期間 (年度) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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キーワード | 糖尿病 / 免疫学 / 細胞・組織 |
研究概要 |
肝細胞増殖因子(hepatocyte growth factor, HGF)は、肝細胞以外にも、様々な細胞から産生され、また、多様な細胞に多岐に渡る生物学的活性を発揮することが知られている。近年、脂肪細胞からも産生されることが明らかになり、現在では、肥満や糖尿病でその産生が亢進するアディポカインの一つとして認識されている。一方で、肥満や糖尿病の病態生理におけるその役割は、まだ十分には解明されていない。本申請研究では、“HGFが糖尿病発症抑制作用を有する”との仮説を立て、それを検証していきたいと考えている。さらに、肥満・糖尿病と呼吸器疾患との関連を、HGFの産生ならびにその反応性に注目しながら、検証したいと考えている。 本研究で用いる実験系は、a) これまで所属研究室では行われておらず、申請者が新たに立ち上げる必要があった実験系(磁気結合ビーズを用いた細胞分離システム、FACS を用いた表面マーカーの解析、骨髄細胞からマクロファージへの分化誘導、気管支喘息マウスモデルなど)や、逆に、b) 申請者が新たに取得しなければならなかった技術(マウスの耐糖能試験やインスリン耐性試験、膵島単離、膵島からのインスリン分泌評価の為のperifusion アッセイ、脂肪組織からの各細胞分画(脂肪細胞やマクロファージなど)の分離など)を、多く含んでおり、当該年度の約半年間の研究の大部分は、これら実験系のセットアップに費やされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前述の研究実績の項で述べたように、本研究で用いる実験系は、a) これまで所属研究室では行われておらず、申請者が新たに立ち上げる必要があった実験系や、b) 申請者が新たに取得しなければならなかった技術を、多く含んでおり、当該年度の約半年間の研究の大部分は、これら実験系のセットアップに費やされたが、その実験系のセットアップは、おおむね順調に進展し、下記の今後の研究推進方策で述べる研究を推進するための下地が十分に確立されたと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は下記の検討を行う予定である。 1)HGFが糖尿病発症に及ぼす効果の検討:A) in vivo の実験;各マウスに、HGFを投与し、次の項目に関して、その効果を評価する。〔評価項目〕体重、脂肪組織重量、血糖値、脂肪組織の炎症の程度など。B) in vitro の実験;正常マウスから、膵島、脂肪細胞を取り出し、in vitro で培養する際、HGFや、c-Met阻害剤又は中和抗体を投与し、それらが、膵島のインスリン分泌や、脂肪細胞の糖の取り込み・インスリン感受性に与える効果を検討する。また、HGFがマクロファージの分化や機能(サイトカインなど)へ及ぼす効果を、腹腔内マクロファージや骨髄幹細胞から分化誘導させたマクロファージを用いて検討する。 2)肥満・糖尿病によるHGF反応性の変化:A) 正常マウスを用いた検討;上記1)B)in vitroでの検討を行う際に、高糖、サイトカイン(TNF-alphaやIL-1beta)や、脂肪酸(パルミチン酸)を追加し、HGFの効果の変化の有無を検討する。他の細胞(例えば、正常マウス由来肺線維芽細胞など)を用いて、同様に、HGFの効果が、高糖やサイトカイン刺激等で変化するか、検討する。B)肥満・糖尿病マウスを用いた検討;前述の各種細胞を、正常マウス、及び、肥満・糖尿病マウスから精製・抽出し、定常状態での細胞機能の違いや、HGFに対する反応性の違いを、検討する。 3)肥満・糖尿病と呼吸器疾患との関連:正常マウスと肥満・糖尿病マウスにおける、各種呼吸器疾患モデルに対する感受性の違いを検討する。
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