研究課題
現在、湿潤療法の作用メカニズムについては、細胞の遊走機能の維持、サイトカインや成長因子などの細胞機能の維持などによって説明されてきた。しかしながら、これらは細胞のマクロな機能面に焦点を当てた説明であり、湿潤環境における創傷治癒が促進されるための分子基盤は明らかになっていない。既存のドレッシング材は浸出液を吸収することで、創面に保持することを目的としているが、その過程において、浸出液成分がどのように変化しているのかは不明である。創傷被覆材を用いることで一般的な褥瘡では創傷治癒が促進することが明らかであることから、申請者は①創傷治癒を促進する特定のタンパク質のみの濃度が創面付近で上昇していることや、②細菌を含む創傷治癒を阻害する因子が創傷被覆材の中に保持され、創面から隔離されていることが、細菌病原性因子の発現抑制ならびに創傷治癒促進に寄与している、という仮説を提案した。実験方法は、9週齢Wistar系雄性ラットを1週間の馴致の後、全身麻酔下で背部に全層創傷を二か所作成し、film dressingを貼付し、浸出液を回収した。その後、回収した浸出液をハイドロサイトに吸収させた。吸収されず、残存した浸出液をサンプルとし、サイトカインアレイを用いて浸出液中タンパク質の網羅的解析を行った。その結果、創治癒を促進させることが報告されているレプチンの増加が認められた。このことからHydrocellular foam dressingは創面における浸出液中のレプチン濃度を増加させることによって創治癒を促進させる可能性が示唆された。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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PLoS One
巻: 8 ページ: e73988.
10.1371/journal.pone.0073988
http://dbs.nodai.ac.jp/html/100000791_ja.html
http://www.rounenkango.m.u-tokyo.ac.jp/presentation.html
http://www.rounenkango.m.u-tokyo.ac.jp/paperseng.html